【地域おこし協力隊WSレポート】「四国の右下」に移住者を増やすには? 

阿南市、那賀町、美波町、牟岐町、海陽町の1市4町の「四国の右下」移住担当者は、情報交換を兼ねた研修会を定期的に行っています。コロナ下で様変わりした移住の動向について話し合う会や子育て・教育について、空き家問題、地域課題解決のための専門家講習など毎回テーマを決めて実施しています。今年度最後の研修会は「四国の右下」で活動する地域おこし協力隊と共に「四国の右下に移住者を増やすには?」をテーマに、ワークショップ形式の交流会を2023年2月中旬に開催しました。

四国の右下に移住者を増やすには?

このWSは問いの答えを導き出すというより、同じ地域で暮らす者同士が感じていることを気軽に話せる関係づくりを目的に企画されました。「四国の右下に移住者を増やすには?」といったトークテーマも身近な話題です。参加した各市町の移住担当者や地域おこし協力隊ができるだけ別のエリアの人と話ができるよう、4つのグループに分けて約30分間のワークショップを実施しました。地域おこし協力隊のみなさんには各地で課題解決に従事しながら、移住者でもあるという両方の視点から、普段感じていることざっくばらんに話してもらいました。さて、どんなアイデアが出てくるでしょうか?

ChatGPTにもきいてみた!

ちなみに、話題の文章作成アプリChatGPTにも同じ質問をしてみました。

徳島県南部に県外からの移住者を増やすためには、以下のような施策を検討することが考えられます。

1阿波踊りなどの地域イベントの積極的なPR
阿波踊りなど地域に根付いた伝統行事が多くあります。これらのイベントを積極的にPRし、県外からの訪問者を増やすことで、徳島県南部の魅力を知ってもらい、移住を検討する人が増える可能性があります。

2住宅支援制度の充実
移住者が住宅を確保することは移住を促進する上で非常に重要です。住宅支援制度を充実させることで、移住者が住宅を安価に確保しやすくなるため、移住を促進することができます。

3移住者向けイベントの開催
移住を検討する人々に向けた移住相談会や、現地見学ツアーなどのイベントを開催することで、地域の魅力を直接的に体験してもらうことができます。これにより移住のハードルを下げ、移住を促進する可能性があります。

なるほど!という回答ですが、中には間違った情報も含まれていて、紹介したのは比較的上手に回答できていたものです。
この他、四国に移住する人たちが魅力を感じる点についても聞いてみました!

1自然と暮らしの豊かさ
四国には美しい自然が多く残されており、海や山、川などでアウトドアが楽しめます。またゆったりとした暮らしができ、食材も豊富で新鮮な物が手に入りやすいところが魅力です。

2人々とのつながり
四国には、地域に根ざした人々との繋がりが強く、地元に方々からの温かいおもてなしを受けられます。また、地域の文化や伝統、食文化などもあり、そういったものを学ぶこともできます。

3安らぎと癒やし
四国には、多くの温泉やパワースポットがあり、心身ともにリラックスすることができます。また、自然とのふれ合いや、地元の方々かたの暖かい支援を受けることで、ストレスが解消されることもあります。

4新しい挑戦
新しいビジネスモデルやアイデアが生まれており、地域おこしや観光振興などに力を入れている場所もあります。そうしった取り組みに参加することで、新しい挑戦ができます。

この問いに関しても、もっともな内容に思わず感心してしまいますが、「四国」でなくても、もしかしたら同じ答えが出るのかもしれません。

リアルな意見続出!「四国の右下」に移住しようと思って来たわけじゃない!?

初対面の人もいたようですが、すぐに打ち解けて和気あいあいと話ができる大らかさは、もしかした「四国の右下」エリアの特徴かもしれません。一年を通じて温暖な気候が、そうした県民性を育んでいるのかも。とはいえこの日は、県南部にしては珍しく雪がチラつく空模様の寒い一日に。そうした中でも会場はいい感じに盛り上がり、それぞれのグループから熱意のこもったアイデアが出ました。

WSで出た意見やアイデアの一部を紹介しましょう。

・「仕事がある」というだけでなく、地域の特色と個人の得意をいかし、相乗効果の得られる仕事があるかどうかが重要
・移住相談会や大型フェア(地域おこし協力隊はJOINなど)が移住のきっかけになったので、フェアへの出展を継続的に行う
・住まいの情報や困った時に助けてくれるようなサポート人材やサポート機関が欲しい
・DMVなど観光きっかけで四国の右下エリアを知った人に対して積極的にアプローチを行う
・地元愛を醸成し、Uターン、Jターン、Iターンの順で移住者を呼び込めるよう、まずは住んでいる人の満足度の充実を図る
・移住PRの際にいいとことばかりを強調するのは疑わしい。住んでみて「話が違う」と引っ越してしまうので、デメリットについても説明する
・四国の右下エリアでお互いの強み、弱みに関して情報共有し、補完しあう

当たり前ですが、ChatGPTよりも会場の意見の方がリアルで具体的。しかも実感がこもっているので、一言一言に温度感があり、言葉に重みを感じます。

様々な意見の中で興味深かったのは、「『四国の右下』に移住したい」とエリア先行で移住を決める人は意外と少ないという発言。東京近郊ならいざ知らず、それ以外の地域はどこも似たり寄ったりで、ChatGPTが答えたような「自然が豊か」、「人が優しい」、「食べ物が美味しい」といった特徴はどの町にも当てはまります。

移住希望者の多くが「漠然移住」と呼ばれる「どこかいいところがあれば移住したい」という移住先を決めきれないIターンということを考えると、「たまたまいい物件と出会えた」とか、「自分の力をいかせる求人があった」など、偶然の巡り合わせのような必然性が、移住の決定打となるのかも知れません。

この日集まった地域おこし協力隊の面々も、縁あって四国の右下エリアで地域おこし協力隊になった人ばかり。最初から「阿南市に住みたい」「牟岐町がいい」と移住先を絞っていたわけではないといいます。「四国の右下エリアに移住してきてください!」と地域をPRするより、仕事、暮らし、人など多種多様な情報発信を行うことで「なんだかおもしろそう」とか「自分に合うかも」と思ってもらえるような何かをキャッチしてもらうことで、ハッピーな移住に繋がるのでは・・・といった提案もありました。

この話を聞いて、徳島県移住アドバイザーの小林陽子さんは移住相談の際にいつも心掛けている「移住者が求めているものを提示できるか」、「その人の悩みを移住で解決できるか」といった思いと重なるとコメント。また「地域おこし協力隊は3年の任期終了後、地域に定着できるかが課題。四国の右下という狭いエリアでも今日初めて会った人もいます。同じ協力隊同士、地域課題に取り組む者同士、情報共有し、助け合い、こうした機会を通じて地域との繋がりを作って欲しい。それが定住の足がかりになります」とエールを贈りました。

「四国の右下」エリアでは積極的に地域おこし協力隊を受け入れています。定住している人も多く、それぞれの事情で地域を離れた後も繋がりを保っている人も多い、フレンドリーなエリアです。地域おこし協力隊以外にも地域で活躍する先輩移住者も。その体験談をまとめた冊子もありますので、ぜひ参考にしていただき、移住をご検討ください。

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